Q.色弱って?色が分からないの?車は乗れないの?
A.視力検査で視力が十分で、赤色と緑色の区別がつくようならば運転免許は取得可能です。
『色覚』とは、「色を感じる能力」を言います。
色を感じる細胞を錐体細胞といい、網膜の中心部分(黄班部 という)に大半が分布しています。錐体とは形が円錐形をしています。
色の三原色「赤・青・緑」を判別する能力を持った細胞です。
人が感じ・判別できる範囲(可視光線)は波長400~700nmでこの範囲の色合いを錐体細胞が認識しますが、色合いの判別がつきにくい人がおり『色弱』と言います。
全色盲は視力が非常に悪く、常に眩しく、眼振(物を見るときに眼球が大きく揺れる現象)があり、色覚より視力が問題です。

正常な色覚を持つ人には赤色と橙色が似かよい・黄緑色と青緑が似かよいます。
色覚異常がある人は赤色と青緑が似かよい・橙色と黄緑色が似かよった見え方をします。さらに灰色をバックに赤と緑を見せた場合に、緑色がはっきりするが赤色は不明瞭な状態を第一異常と言います。逆に灰色をバックにした場合に、赤色がはっきりするが緑色が不明瞭な状態を第二異常と言います。
大抵は赤色の異常を第一異常、緑色の異常を第二異常と言います。
つまり第一異常は赤色を暗く感じ、第二異常は緑色を明るく(白っぽいと言っても よい)感じるようです。
また正常な方から、赤・緑・黄色の区別が殆ど出来ない重度の方まで程度は様々です。ただしこの程度差を検査で判別することは困難です。
色調はいわば質を問うもので、視力のように量を測るものではないので、総合病院の眼科で精密検査する他ありません。
しかも、色弱の発生頻度は男性は約5%・女性は約0.2%といわれ、いわゆる遺伝性疾患の伴性劣性遺伝で、圧倒的に男性に発症が多いです。
他の遺伝性疾患に比べてかなり頻度が高いです。

視力検査で視力が十分で、赤色と緑色の区別がつくようならば運転免許は取得可能です。
しかし色覚の判別が決め手になる職業では就業不可能な場合があります。
最近は個人の能力により、多くの職種で色覚異常への門戸が開放されてきましたが、今もって安全性・高精度を要求される職種では、なお厳しいです。
その判断は個々の企業・組織の判断によります。
幼少時に『色弱疑い』を耳にされた場合、早めに眼科受診し、その程度の判定をなさるのがお子さんのためにも良いと考えます。残念ながら現在の医療ではこの遺伝性疾患は不治であり、「将来治るかもしれない」という期待は根拠のないことです。お子さんが大人になり希望する職業を断念せざるを得ない場合、幼少期の診察が鍵であったことは多いようです。
しかも定期的に眼科受診をし、視力の状態を把握するのは「治らないから仕方ない」ではなく、「他かに何かあったら大変だから」と定期的に御両親がお子さんのために尽力するべきだと考えます。
監修:藤原医院 院長:藤原憲治