Q. 遠視って何?何が問題なの?

A.小児期の「目がしんどい・いらいらする・時折頭痛や眼痛がある」等の訴は、遠視による眼精疲労・調節障害かもしれません。

私も遠視性乱視で幼少時から苦労しました(私はドライアイなので、コンタクトレンズも使用できず、老眼鏡を使用始めた38歳以降も眼鏡のみです)。
「遠くが見えるのは、いい事でしょ。羨ましい」と近視の方がおっしゃいますが、現代生活において遠視は如何に生活しづらいかを述べます。
現代においてVDT作業が多く、近業作業は焦点距離が近いので遠方に焦点が合う遠視は常にピント合わせのために緊張状態が続きます。
いわば一日中調節の緊張状態が持続し、ピントがフリーズしてしまうのです。

以前TV でマサイ族が視力検査をしているのを見た覚えがあります。
視力10.0 とかでしたが、1km先の牛の性別が分からないと生活できない種族には遠視でないと困るでしょうが、彼らが日本に来たら大変目が疲れ、長期滞在はとんでもなく苦痛になるでしょう。
適度の遠視はたいてい焦点が合うので遠くも近くも見えるので日常作業で問題はありませんが、実際は調節力をかなり使っており、思いのほか眼精疲労が幼少時 から多いのです。
小児期の「目がしんどい・いらいらする・時折頭痛や眼痛がある」等の訴えがある場合、遠視による眼精疲労・調節障害かもしれません。
放置せず眼科医とご相談ください。 眼鏡の早期処方により、改善されます。
強度遠視は限りなく遠方にしか焦点が合わないので、視力が出せず、極く幼少期に眼鏡矯正の対象になります。
頑張って両親の励ましにより弱視(将来視力矯正しても視力が出ない状態。失明ではない)を回避することも可能です。
わずかな訴えを「子供の言うことだから、大したこと無い」と放置しないこと です。

ここで不同視弱視について説明します。
片方の目が遠視寄りであることが大きな原因です。
幼少時の眼鏡矯正で将来の視力が決まるので、遠視の発見は重要です。
また眼鏡の処方も場合によっては眼科で点眼治療を数ヶ月行ってから眼鏡度数が決定することもあり、根気を要しますが、将来のために克服する価値があります。
御両親がお子さんにかけられた努力がそのまま彼・彼女への尊い愛情と成果になり視力矯正が可能になります。彼らが大人になった時に彼らの子供に対する視力矯正への正しい接し方にも必ず反映します。まさに親子の深い絆を象徴する事柄です。遠視の眼鏡処方がそれ程、大切とは思っておられない方が大半ですが、「遠視は場合によってはその子の将来を大きく左右する」ということの認識をなさってください。

ちなみに遠視の度数進行を避ける方法は、根本は近視と同じです。
正しい姿勢の保持・適度な照明・適度な運動・適切な視力矯正」と年間2から3回の眼科検診が追加されます。少し度数が変わっても大きく視力低下を来たすのは意外と思われるでしょうが、それが遠視です。

監修:藤原医院院長:藤原憲治