飛蚊症/網膜剥離

眼科医をしていて多くの方から尋ねられる事です。 網膜剥離は1万人に1人程度の頻度で起こり、近視が強いとその発生頻度も上がります。 飛蚊症がその前兆であることが多いですが、飛蚊症は硝子体の濁りか網膜の破片かは自己判断せず、早々に眼科医に掛かり眼底検査を受けると診断がつきます。 しかも早期発見であれば網膜に穴が開いた状態(網膜裂孔と言う)ではレーザー光凝固術を行うと、網膜剥離を防ぐことが出来る方が多いです。 ちなみにレーザーは眼科外来でその日の内に出来ますが、外来手術の一つなので高額(自費ですと約12万円と思います)ですから、眼科医と十分にご相談下さい。 ちなみにレーザーを止めてしまっては、剥離に至り入院2週間程度になってしまうこともありますので網膜裂孔発見後は出来れば当日に受けられると良いでしょう。

ちなみに硝子体混濁は硝子体が自然と水分とタンパクの繊維物質に分離する時(これは十代半ばからどなたにも起こります)にタンパク繊維の体積が縮む現象によるものですが、その硝子体(タンパク)繊維の一方が網膜に接着しているので網膜付着部が硝子体繊維に引っ張られて穴が開いてしまう現象を’網膜裂孔’と言います。 つまり誰にでも何時でも起こりうる加齢性現象で、回避するための予防策は今のところありません。よって「何か変な物が飛んでは消える(このニュアンスが大事)」とか「最近急に ‘すす’やゾウリムシやアメーバ・糸くずのようなものが見え出した」等、蚊が飛んでいる様に見え隠れする状態を放置しない事です。 なお見えたり見えなかったりするのは、硝子体混濁や網膜片が眼球内に存在するためで、眼内を光が透過した時に網膜へその影が投影された場合のみ視認されるため、「急に見えたり見えなくなったりする」訳です。そのため「蚊が飛ぶ」と表現されました。

自宅では、次のように初期発見を試みましょう。 眼鏡やコンタクトレンズを装用したままで良いので、時折白い壁に向かって「新しい染みはないか、変な見え方は無いか」を片眼ずつしっかり手のひらで目を覆い(ここが肝心!!隙間を作らないこと)確認しましょう。 黒い点や透明でゾウリムシやアメーバみたいなもの、ひどい時は水溜りのようにピカピカ光る部分(ここが網膜剥離である可能性大:なぜなら網膜が剥離してしまうと見る能力が無くなるので視野欠損になるため)等を見つけてみましょう。 また視力の変化も分かります。まめに点検してみて下さい。 それでも不明な点は眼科医と相談してくださると手遅れになりません。

監修:藤原医院 院長:藤原憲治