咽頭癌

咽頭は上・中・下と咽頭癌が発生します。 上咽頭癌はEB(エプシュタイン・バール)ウイルス感染が関連しており、伝染性単核球症が関与すると言われています。上咽頭症状は特には無く、耳の症状は耳鳴り・耳閉感・難聴・中耳炎、鼻症状は鼻閉感・鼻出血、様々な神経症状(脳外科紹介です)です。 頸部リンパ節の腫脹(腫れ)で自覚来院されますが、リンパ節転移である事が多く、かつ骨・肺・肝への転移も見られます。治療としては扁平上皮癌が多いですが、頭蓋底と隣接して居たり未分化癌(分化レベルが高いと癌細胞であっても正常細胞に近いれべるであり、未分化ということは、分化レベルが低いので正常細胞から離れた存在です。 つまり、宜しく無い細胞です)が多いので、原則的に手術は行われません。放射線療法と化学療法が第一選択です。

中咽頭癌は、50代から60代の男性に多く、扁平上皮癌が多いです。原因は「喫煙・飲酒」が考えられます。症状は、咽頭痛・嚥下痛・耳へ放散する様な痛みが多いです。検査では咽頭ファイバーで粘膜表面の潰瘍形成が多く見られ、その多くが頸部リンパ節転移を合併します。治療は同じく3者併用療法が基本ですが、放射線量が主体に成り、転移が明らかであれば早々に手術適応です。

下咽頭癌は、咽頭がんの10%程度で、扁平上皮癌が多いです。発症部位に特徴が有り、輪状後部の癌は何故か女性に多く、他はほ耳鼻科の原則である中年の男性に多い。 いずれも扁平上皮癌が大半です。症状は初期は異物感、進行すると嚥下障害・嗄声(しゃがれ声)・耳に放散する痛み。 なお嗄声があると男性に多いタイプで早期発見に至ります。頸部リンパ節への転移は早期から起こります。 治療としては3者併用療法を行いますが、放射線療法は上咽頭癌程奏功しない事が多いです。 また進展した場合に喉頭(のど)と頸部食道摘出を必要とする事も有り、その場合は下咽頭食道再建術にまで至る事も有ります。 何れの咽頭癌も早期発見・早期治療が肝要です。

監修:藤原医院 院長:藤原憲治