鼻炎

大きく分けて「肥厚性鼻炎・委縮性鼻炎・慢性副鼻腔炎・特殊な副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎」が考えられます。

肥厚性鼻炎

鼻の奥の下の方(下鼻甲介:かびこうかい)の鼻の粘膜が大きく腫れる事で呼吸不全になる事を指します。通年性で、成人の両方の鼻のつまりが、多いです。重症例は鼻甲介(これ自体は骨)と肥厚した粘膜と共に切除する事が有ります。

委縮性鼻炎

青年期までの女性に多く、鼻の粘膜がホルモンの異常で委縮してしまい、「異臭(むしろ悪臭)」を自覚して受診されます。鼻くそが発生しやすく、カサブタになって鼻粘膜にこびり付き、粘膜が委縮して拡張したはずの鼻腔がカサブタで狭くなり、悪臭を放つようになります。婦人科的治療が奏功する事があります。一方40歳後半からの女性には見られない事もホルモンに起因する事を裏付けています。

慢性副鼻救援

鼻炎は本来鼻腔=副鼻腔と考えてよいので、一緒に解説します。いわゆる「蓄膿症」です。元々は「球性鼻炎」から、「慢性化」し、副鼻腔という鼻孔に小さな穴で空気が出入りしている顔面の多くの体積を占める「空洞(副鼻腔)」の粘膜に炎症が及び改善する事無く膿がたまった状態を指します。 時に歯科治療で上顎の治療で上顎洞(一番大きな副鼻腔)にまで操作が及び、また抜糸さので口腔と繋がってしまい口腔内の唾液が副鼻空に流入して生じた歯性上顎洞炎も副鼻腔炎と考えます。 主症状は、粘性の強い鼻水と鼻詰り、臭覚障、頭重巻と頬部腫脹や熱感、集中力欠如や記憶力の減退があります。 なお「いびき」は診断の意義は無く、「開口障害」も合併しません。治療自体は抗生物質の長期投与(3から6カ月)が基本に成ります。自覚種々が改善し根治治療を見合わせた事により、常に再発ししかも「耐性菌(抗生物質が効かない菌)」の発生を促す事に成り、「副鼻腔炎」の治療は難治性が高い一般的耳鼻科疾患です。どんどん状況が悪化しますと薬剤による保存療法の限界に至り、手術的治療法を適応せざる得なくなります。幾つかの手術法が有りますが、手術目的は「副鼻腔内の菌に於かされた鼻粘膜の摘出・除去」です。 歯茎や眉毛の陰から切開し病巣部の骨を一部開放してしまい直視下で粘膜を骨から丁寧に剥ぎとって摘徐して行きます。しかしこの方法も完ぺきではなく、病巣粘膜の完全摘出は術者の直視下で行いますから全ての病巣粘膜を術窓(手術の為に開けた骨部の穴)から引き出せないので、一部は副鼻腔内に残存します。 事実患者さんの中には「副鼻腔手術を10から30年程前に受けたが、最近頬骨の下辺りが痛み腫れだした。」といった主訴で耳鼻科受診される方がいますが、「術後上額(或いは頬部)嚢胞」の発生を示唆します。比較的多く見られます。 大半の方は「鼻炎症状は術後もあったが、手術をしたので再発などしないと思って、耳鼻科受審はしていなかった。」様です。また慢性副鼻腔炎を加療中に副鼻腔から治療中尾鼻腔粘膜が鼻をかむなどした際、鼻孔近くまで或いは鼻孔から見える所まで脱出してしまう事も有ります。これを「鼻茸(はなたけ・びじょう)」と呼びます。悪性ではありませんが保存治療していてもなかなか袋状に発育した粘膜の縮小化は厳しく、切除する事もままあります。 再発しやすい状態であり、上記の「副鼻腔炎手術」をなさる方が良いと言えます。治療完了まで「自覚症状の改善」といった個人判断は避けた方が無難です。

乾酪性副鼻腔炎

副鼻腔真菌症の事です。乾酪性(かんらくせい:チーズの様な腐った様な)というと、直ぐに「結核」と考えがちですが、原因菌はアスペルギルス・カンジダ等のカビ(真菌)です。 通常、片側の鼻孔に発生します。頻度は少ないですが難治性です。特に全身疾患に合併した場合、免疫能の低下がベースにありますから、基礎疾患の治療を中心にしつつ鼻炎の治療を抗真菌剤の全身・局所投与します。ただ治療中に菌交代現象を起こしやすく、抗真菌剤と二次感染予防の抗生物質の投与を必要とする事が多いです。

監修:藤原医院 院長:藤原憲治