「ステロイド誘発型高眼圧症」とは。
ヒノキ科の花粉症に変わって居ますが、今年も春の花粉症は厳しいです。寒暖の差が激しかったため、患者さん個々人の症状に程度差、特に気温と風雨による差が大きいのが特徴です。
最近の問題ですが、耳鼻科や内科通院中の患者さんへの眼科以外の主治医の処方に関する問題です。以前より耳鼻咽喉科で花粉症に対し、「ついでにアレルギー用の目薬も出しておきます。」といって強度のステロイド点眼をいとも簡単に処方されている事です。この医療行為は内科にも強く見られます。軽度のステロイド点眼でも、「ステロイド誘発型高眼圧症」を発症する事があります。患者依頼で制限無く点眼追加をしていて、暫くして「目が気持ち悪い・目が重い感じがする・目が押される様な違和感がある・目が痛い・頭痛と吐き気がある」等の症状で来院され、高眼圧症が発見される症例がちょくちょく居られます。点眼を中止して直ぐ眼圧が正常値へ降下すると共に、症状消失が見られ、安易なステロイド点眼処方が問題であった事が判明します。一方、ステロイド剤の処方全般に、私は積極的に行って居りますが、私自身が極度のステロイド誘発型高眼圧症ですので、ステロイド処方後は定期的に眼圧の測定を行って居ります。他にも膠原病や自己免疫疾患でステロイド内服を余儀なくされる患者様が当院には相当数通院されて居りますので、適宜眼圧検査だけでなく、視力検査と視野検査も実施して居ります。稀に正常眼圧にも拘らず、視野検査で視野欠損が見られる方が見つかります。主治医先生と相談し、眼圧対策とステロイド処方容量の見直しを行って居ります。内科・整形外科・皮膚科ではステロイドによる副作用はあまり重視されていません。眼科通院受診を勧められた方は、既に対策を他の眼科で受けられています。高眼圧症全般が、放置して居りますと「緑内障」が固定してしまう事に成ります。軽い気持ちでの処方が緑内障を作り出す、恐ろしい事です。
また当院の点眼処方では、低用量ステロイド点眼を主体にし、非ステロイド系消炎剤点眼は殆ど処方して居りません。耳鼻科としてメニエール病等で止むを得ず大量のステロイド内服を行う際には、胃潰瘍治療剤や逆流性食道炎治療薬を絶対に併用して居ります。「ステロイド剤の内服で、胃粘膜障害を併発する。」からです。大学病院勤務時代に薬剤障害性の難治性角膜炎の症例を度々治療してきましたが、この際一旦点眼薬を全て中止し、一剤ずつ点眼を再開して参りますとその大半の患者さんの障害は「非ステロイド系点眼剤」によるものでした。元々全例「びまん性表層角膜炎」治療のため、「角膜保護剤」を紹介先の眼科医院から処方されて居りました。元々角膜表面の細胞が傷つき易い状態です。そこへ粘膜障害を生じやすい「非ステロイド系消炎剤」を処方されますと、症状増悪は避けられなかった様です。そのため、私は眼圧上昇に注意しながら「ステロイド点眼剤」を中心に治療を進めて居ります。勿論ステロイド使用による易感染状態展開は十分理解した上での対処です。当方も危険を冒しますが、眼科として不必要な副作用を回避する事が得策かと考えます。よって胃腸症状を重視した、非ステロイド系消炎剤の内服と医粘膜保護剤や胃潰瘍治療剤の投与を基本としてアレルギー治療を行い、つまりは内服剤で全身治療を行う事で、眼症状への局所ステロイド点眼処方のみに留めて居ます。
大学病院勤務時代からこの発想は在りましたが、眼科内では内服処方を常態化する事は問題でしたので、点眼治療中心でした。救命救急科に参りますと、様々なストレスに対する胃粘膜障害対策が当たり前でした。同じく産業医の立場からも心療内科的対応も考慮し、胃腸症状対応は必須でした。処方後の副作用には注意を要します。専門外の対応は回避すべきかも知れません。
緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!
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