スギ花粉症対処法

今年のスギ花粉症は大変厳しく、「なかなか治らない」という依頼が毎日大量に来ます。その実態は様々で、全員に「強めの抗アレルギー剤で対策」とは行きません。

 幾つかのグループに分けてみます。

1)売薬等を使い正しい医師の診察を受けずにいた症例

2)既に他施設(耳鼻科・眼科、何故か内科や小児科)受診し、改善が無いか、増悪して受診して来た症例

3)自己判断で過去処方された内服点眼点鼻を適当に使い、売薬も併用し凌いできたが、何とも対応出来ずに仕方なく追い詰められて受診依頼をしてきたヒト達

 他も混じりますが、多くはこの3種類です。1)3)は医師の診察を今現在受けて居らず、科学的診断根拠がありませんので、「初診」扱いです。その為使用していた薬剤の内容が大切です。殆どが「売薬の名前」も覚えて居らず、その薬剤の効果や使用目的を一旦無かった事と解釈して、「スタート」からの治療行為開始とする他ありません。担当医としては、「迷惑な話」です。こういう症例は、「悪気が無い」のが、悪意全快です。素人の浅い考えとは言いませんが、まるで「自己流で作りかけたプラモデルの製作を中途で投げ出し、‘何とか完成させてくれ’とせがまれている状態です。方向性の確認と個人の統制をはかり、自己判断を禁止し、「何かあれば早々に当院に電話連絡し、自己判断をしない事。」を確約させる事で、基本は成立します。しかし過去の統計では、半数以上が自己判断で診察を中止しています。そのくせ今年は何事も無かった様な涼しい顔をして、「以前来た者ですが、色々試しても治らなくて。診て貰えませんか。」と直接窓口に捻じ込んできます。症例によっては、過去のロスを鑑み、御断りしています。信頼性の欠如が主たる理由です。時間的人的ロスは大変で、当方はこういった症例に対し同じ丁寧な対応は出来かねます。所謂前科者への対応です。そこは仕方ない事です。他を当たって頂きます。

 2)の症例は、既に医師の診断が付いて居り、治療も行われており、患者様の自覚症状を満足出来ない程度の問題です。前医師は通常「この処方で治療十分」と判断しての処方内容であるはずです。しかし今年は当院でも「去年の夏の猛暑が響いて、例年とは懸け離れた酷さになると予想する。」と言い続けた通りになってしまいました。それ故、個々の患者様の症状と治療内容とを詳細に照らし合わせないと好ましい改善には至り兼ねます。単純に「薬剤の強さの問題」であれば、「薬剤の強化か増量」で改善は確実です。しかし「現在の治療は、この患者にとって予想し得る対策としては十二分なのに、どうして結果が伴わないのか。」といった場合も随分あります。この様な複雑な症例は当院の財産になりますし、これまでに何かを見落としているからに違いありませんので患者様方にとっても大変意味がある状況です。鼻・眼を中心に考えているだけでは解決せず、むしろ他科的領域に解決しない要因が潜んでいる事が殆どです。紹介状をこの時期大量に発行する事も多く、今年は特に酷いです。胃腸症状を無視するとこっ酷く悲惨な結果に至る事が多く、「便秘・下痢」を対処する事で急速に改善する事も多々経験します。秋の花粉症はその傾向が春の花粉症よりも顕著です。消化器内科・外科での処方内容を検討する事も大切です。そのため2)のような症例は、通院した施設の「解説内容」と「処方薬剤の内容」を是非とも御持参して下さい。解決の糸口は「問診・診療経過・治療内容と検査内容」に有りです。

 1)は今回改善しても同じ事を繰り返し、売薬で済まそうとする傾向が強いです。その為「総合○○薬」で大半の治療を済ませる傾向にあり、後日急な「薬剤障害」が発症しやすくなる事も予想出来ます。そもそも「総合」ですから、ターゲットは「何処なのか、はたまた何なのか」が明確では無く「広く浅く叩く」という事です。その為「薬剤障害」が生じ易い傾向にあります。事実私のライフワークは「皮膚粘膜障害(スティーブン症候群)」でして、その重度の角膜障害を対象として治療研究して参りまして、当時最終手段が、「角膜移植」であり、「羊膜移植」でした。3)の方々は常に私が批判しているヒト達で、危機感の欠如が目立ちます。何に対しても「適当」に対応し、「適当」に治療を自己判断で終了する。国民皆保険制度が無い国々では、そうするしかないのでしょうが、日本では「治癒」確認する事で将来の「好ましい長寿化」を維持して行けるのではないかと、考えます。その「付け」が何時回ってくるかは、その時が来なければ誰にも分からないわけで、その時が来れば「はい、それまでよ。」と成り兼ねない事を全ての日常活動で戒めるべきと思います。

 

 

 

 以

緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!

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