問診と状況判断

先々月から常に「咳が止まらない。」という訴えで来院される患者様が絶えません。大半は気管支炎・気管支喘息の治療を強化する事で、咳自体は早々に消退して居ります。同じく、「耳鳴り・めまい」の患者様方が例年通り増えたままで、減少しません。

 春先・梅雨時・秋の初めは、気圧変動による「自律神経のアンバランス」による障害が何方にも生じ得ます。今年は台風の影響下でなかなか改善しない症例が、急増しかつ高齢者では元々の血管全体の「動脈硬化」による「血流障害」が明確になり色々と複雑な症状を呈している様です。若年者から中年域の方々は、「若い頃乗り物酔いに成り易かった」かどうかが、大きな指標になります。御本人も「そういった経歴まで意味があるのかは、想像もつかなかった。」と仰る事が多いですが、内耳器官は本人の体質を反映する器官ですから、大切な問診ポイントです。高齢者は、「成人病の治療状況」について詳細を把握する事が、肝要です。特に「通院している。治療している。」と自信満々で返答されるヒト達の中で、実際は「思い付きで内服したり、通院したりしている」レベルの患者さんは対応が大変です。通常の耳鼻咽喉科の治療と一部内科系の循環改善・神経系負荷を内服で誘導しますが、反応が芳しくない場合は、脳神経外科に直ぐに紹介して居ります。大半は、「ラクナ梗塞・陳旧性脳梗塞」の診断が帰ってきます。以降は脳神経内科・脳神経外科に治療を依頼し、予備的に当院で隙間を埋める治療を継続します。その際、必ず紹介状に「眼底の動静脈の状態」を記載します。つまり脳の血管系の「高血圧変化・動脈の硬化状況」を眼科の立場で記載して於くのです。これにより頸動脈エコー実施等で、脳血流の障害程度と主訴(めまい・耳鳴り)の発症状況も把握出来るからです。内科主治医も巻き込んで、採血データからの現状の対処の正確さも把握し、状況改善の為の投薬の見直しを考える必要もあり得ますから。御本人が好ましい治療に改善出来るかどうかも確かめられます。

 この様な問診と状況判断は、救命救急勤務時代からの特徴です。「症状=自分の専門分野のみの判断」、という構造に決め付けると見落としは十分考えられます。それを回避する事は、「他科への紹介」が不可避であると考えます。当然先ずは想定される治療を一度は行うべきです。しかし前述の方々のなかでも、当院の受診自体が「タイム・ロス」という場合もありますので、一概に「必ず治療すべき」かどうかは断定しかねます。高齢者の中には、「何でここで診れんのや。わざわざ他に行かんといかんのなら、最初から診るな。」等と罵声を浴びせられた事がありましたが、脳神経外科到着後1時間以内に意識消失に至られて現在も入院中という結果に成られた方も居られます。その方こそ、常に「思い付き」で通院・治療をされていました。一命は取り留めた様ですが、今から改心されても後遺症は免れないでしょう。

 

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