視力と保護者の責任
例年の如く、先月中旬から学校での視力検査に問題があり、「視力検査用紙」を持参される親子が増えて居ります。出来る限り診察予約を御取り下さるよう御願します。度々当院では安易に結論付ける事が出来ない御子さん方が、年々患者数の増加に比例し増えています。
殆どの患者さんは、視力矯正の悪化、中でも近視の進行です。身長の変化と共に近視はどうしても進行します。しかし遠視と乱視に関しては、相関するとは限りません。確かに小学校入学前と小学6年生では、学童の成長状態が大きく変化し、第二次成長の問題があり、幼少時に十二分に有りました調節力が年齢と共に低下して行くのはごく自然です。しかし乱視が増加して「左右(上下は少ないです)のブレ」が急激に進行する事はあまり有りません。更に遠視度数が進行して「遠くの物もピントが合わない」と急激に訴える事もあまり有りません。つまり程度問題ですが、「強い乱視や強い遠視」は幼少時から「視力矯正不全」のため、社会的視力障害対象になり、「眼鏡処方」対象者で在る事が殆どです。特に日本の様なITの氾濫している社会では、近見視力が重要になる為、強度遠視ではそもそもタブレット等で動画自体が見えませんから、社会生活上視力が出ていない事はかなりの確率で就学前に発見されます。ましてや1歳児半や3歳児検診で、発見される確率が高いと考えられます。すなわち、小学校高学年で遠視が進む事はほぼ考えられませんし、学校視力検査でも何らかの問題は発見されます。同じく強度乱視も小学校高学年になる前に焦点が合わない為に、「見えにくい、大変ぼやけて見える、頭痛がする、吐き気がする、目が痛い等」の症状も伴う事が多いので、ほぼ発見されます。では当院に来られる小学生の中で、それまでに「かなりの乱視・遠視」を発見できなかった学童における傾向は、保護者達が「これまでも用紙は学校から貰って来ていたが、子供が出さなかった・自分達が忘れていた。」という事です。学校側から高頻度で検査用紙に関する「催促」は受けて居た筈ですが、何故かそういった保護者は「特に記憶にない」と返答される事が殆どです。どのような経緯でそうなったかは今後また統計を取りますが、何れにせよ子供さん方本人が行き場が無くなりますから、学校と保護者の責任は大きいと考えます。慌てて当院で「可能な限り速やかに眼鏡処方を致しましょう。」と促しますが、そういった家庭に限って、「眼鏡は掛けさせたくない。待ってくれ。」と抵抗される事も極めて多いです。しかも何故眼鏡を掛けさせたくないかに関しては、今現在明白な理由として「何となく嫌だ。」という返答が殆どです。驚きの理由ですが、医師には親権がありませんので、あくまで「解説指導を促す」しかありません。しかし「学校用紙」には、「保護者への解説をしましたが、‘今の処眼鏡を掛けさせたくない’という理由で経過観察とします。」と記載しておきます。
初めて自分の子供の現状を把握して、保護者達が直ぐに事態を受け入れられないという反応ですが、この様な反応では今後人生に於いて生じる突発的不運・不幸に対し「事態が飲み込めないから、今は先送りしたい」という判断に成るのでしょうか。大変不安な御時世に成ったものだと実感して居ります。人生での二者択一はほぼ毎日の様に直面します。それに明確に対応すべく、学校での義務教育と保護者による日々の教育やしつけが有るはずです。「決められない若者」と言いますが、小学校の内に既に将来への暗い影が落ちているのかと、懸念します。子供は自己判断では科学的正解は導きかねる事が多々あります。保護者が正しい科学的判断を教育する事は、義務でしょう。そういった内容から説明する事を余儀なくされる御家族が何となく来院されるので、大変な労力と時間を要して居ります。診察予約を御願致します。現在大学病院の「斜視弱視外来」へかなりの頻度で紹介状を作成している最中ですので、「自分の子供だけは大丈夫」といった甘い幻想は抱かれない様に為さって下さい。
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