早期発見・早期受診

 昨年同時期から目立ちだした傾向の一つとして、「ここ数週の内に自動車の免許更新があるので、試験に合格する様に眼鏡を作ってくれ。」という高齢者の依頼があります。しかも酷い場合は、「期限が3日後」等といっためちゃくちゃな依頼も目立ちます。

 多くの場合、「遠見視力の不備」は自覚していたが、従来通り「眼鏡作成でこれまでのように視力検査を乗り切れ」と判断している高齢者が相当数存在するという事です。この事象は裏を返せば、「これまで遠見視力の低下を自覚していたのに、何ら対策を講じず、放置してきた」という事実です。ある意味「犯罪」です。視力矯正不備を自分で容認していた訳で、もし交通事故を起こした場合、事故原因の一つとして法定視力の矯正不備があると判断される事で原告であれば重度の原因にされ、一方被告であっても被害者であるはずの自分の側にも問題が有った事で多くの保障が削減される事も致し方ない事になります。ましてや「白内障・緑内障」が基礎にあり手術が必須であった場合は、自動車免許失効に成る事もやむ負えなくなります。勿論診断書を提出する事で一時的に回避出来ますが、問題は術後確実に矯正視力が確保できるかどうかも保障されるとは限らない事も想定されない方も多数居られます。手術は成功すると「手術」と言われますが、好ましい成績が達成されなかった場合は、「医原性外傷(手術失敗)」といった表現に転落しかねません。手術の精度も大切ですが、術後網膜や中枢神経系の問題が明るみになり十分な視力矯正が保障されない事もあり得ると皆さん御考えには成りません。「まさか自分が・・・」と大半の市民が考えられると思いますが、それは甘いです。事実私はかつて大学病院の三次救命救急施設に勤務していましたが、搬送患者さんは誰一人として「自分の身に災難が降りかかるとは、微塵も思っていなかった。」と命を取り留められた患者さんからお聞きしました。ヒトは死ぬ直前まで、自分が死ぬとは思いませんから。当然スケールが小さくなりますが、「自分が視力検査如きで免許更新が出来なくなる」とは誰も想像しないのです。

 何とか患者さんの立場に立ち最善の方法を取りますが、眼鏡処方だけで事が済まない患者さんも沢山居られると言う事実を御自覚下さい。ましてや基礎疾患を抱えて居られる患者さん方は、日々切実に様々な事態を想定されて生活される様にと御伝え致します。先日も「糖尿病性網膜症」が視力低下の基礎で、かつ二次性緑内障(現在では稀です)も併発して居り、紹介した大学病院でいきなり眼科から内科に糖尿病の教育的入院と眼底全域のレーザー光凝固術を同時に行う事に成った新患が居られました。しかも眼科主治医から「レーザーを網膜前面にくまなく行う事で、緑内障もある程度改善しますが、網膜の正常部分が減りますから全体に暗くなります。放置しますと確実に数年以内失明しますので、この治療は必然です。」と家族を前に断言された様です。内科では何度も拒否していたインシュリン注射を3回自己注射する事に成った様です。多分自動車免許は諦める事に成るでしょう、そもそも何か事故でも生じる確率は入院治療してもゼロにはなりませんから。仕方ない事です。やはり「早期発見・早期受診」です。

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