医者と販売者の視点

 今年も残す処2週間になりました。耳鼻科・呼吸器科の受診者の急増と共に、年内に眼鏡を新調したいという患者さんも増えています。

 昨今大型安売り眼鏡店の台頭により、既存の眼鏡店の影響は計り知れないものがあり、私が知るところでも相当優秀な個人経営の眼鏡店でさえも閉店を余儀なくされて居ます。日本には国家資格としての親方制度(ドイツでいうマイスター制)が無く、非常に優秀な職人も伝統技術の保存・教育伝承は個人に一任されているだけで、明確で手厚い保護政策は皆無に近い状態です。このため眼鏡処方に関しては更に非伝統的業務扱いになり、消費者(患者では無い)の要望は勿論、視力矯正の基本を十分修練し習熟していない職人モドキが店舗に立ち、多くの消費者(個人客と同じ)に「買い回り品」として眼鏡を売っております。大眼鏡店各グループは、新聞紙紙上やTV・ネット配信等で自ら視力矯正の重要性をアピールしていますが、その実視力矯正に熟達した検眼士が不足あるいは自社で養育し消費者の将来までもは見通せない検眼士モドキを実店舗に配置しているだけの場合もあります。昨月だけでも、大型眼鏡チェーンで店舗内での眼鏡矯正下で眼鏡を作成した患者さん(消費者ではありません)が、「作成後見えにくい・疲れる・頭痛が始まった等」の症状で来院されている症例が、昨年を遥かに超えて居られます。土曜日等は修正の為の処方箋作成で、殆どの業務が終わってしまう事もあります。斜視や不同視、使用目的を確認せず「無難に合わせた」だけ、特に多いのはコンタクトレンズ装用後直ぐに眼鏡処方をされた患者さんが多いです。何れも当日眼鏡処方箋発行が出来ないかも知れない事を患者さん(消費者では無い)に説明していない事により発生した「販売側の配慮不足に起因する処方間違い」と言えます。特に古い・合っていないハードコンタクトレンズ装用者の場合、角膜の変形が著しい場合が多く、本来の角膜の形状(ヌード・カーブという)に戻す必要があります。そのため、「古くて合わないとは思いますが、現在の眼鏡を出来れば数日、好ましいのは1週間程は裸眼で過して貰います。そうしますと患者さんの角膜がコンタクトレンズの影響から自由に成り、患者さんの本来の角膜の状態に戻ります。こうする事で時間が掛りますが、好ましい本来そうあるべき眼鏡処方がようやく可能になりますよ。」と必ず全症例に促して居ります。

 現金収入を確保するべく、当日に受け付けて当日販売確定すると言う事は、眼鏡販売業としてはしごく当然の考え方でしょう。しかし医学的に医療的に患者さんの利益を最大限拡大する方法を医師は追及し患者提供する事は、法的に義務化されて居ます。ここが商法と医師法・保険法の解釈の違いに影を落とすのだと思います。立場が違いますし、立ち位置も違いますので、管轄される法律が違う事も当然です。医者と販売者の視点は自ずと違う筈です。

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