膠原病
先週同様今年に入ってから印象に残った疾患について記載します。膠原病が大変多く、患者さん本人が分からない或いは無症状であり気付かないで長年経過している事も有りました。
目立つのは慢性関節リュウマチです。女性に多く、膠原病としては一般的です。もっぱら関節部の自己免疫疾患で関節部の変形と痛みを中心とした慢性炎症で、整形外科的疾患です。しかし自己免疫疾患なので網膜の色素上皮細胞への自己免疫拒絶反応も生じますから「ブドウ膜炎(網脈絡膜炎)」を併発する事もあります。冬場より時折来院され、大学病院へ紹介して居ります。整形外科では免疫抑制と炎症抑制の為使用するステロイドの投与を合併症を嫌い、投与を避ける事は医師の立場と患者さんの将来を考えると当然のことではあります。しかし個々人の個々の障害状況を個別に判断しないで、一律に「一度ステロイドを使うと戻れないから、我慢する事。」といった考えを患者さんに押し付けるのは問題かと考えます。事実自己免疫疾患とは自己の細胞を非自己と認識し理論上全ての細胞に対し、排除命令を発令し自己を保全する為に積極的に攻撃をしてしまう状況を言います。これにより網膜の光を認識する細胞も非自己細胞と判断されて攻撃を受け出すのです。眼科の立場では、当然失明のリスクを回避する為に場合によっては入院して頂いて網膜の障害状況に応じて大量のステロイドを点滴にて投与し、免疫細胞の暴発を抑制する治療を可及的速やかに行う必要が有りますので、この時点で「ステロイドが将来切れなくなる云々」は論外です。社会的に失明を招けば整形外科通院も困難に成り、治療タイミングを逃した診察医の治療根拠が問われます。実際受診された患者さんはわざわざ急行で当院まで予約来院され、ある総合病院の整形外科に十数年通院されて居て、本年3月中旬からの「両眼の押される様な違和感と、同じく両眼の霧が掛った様な見え方が気になる。知人から眼科以外の内容も相談できると紹介されて受診した。」という主訴で来院されました。緑内障は併発されて居ませんでしたが、前部ブドウ膜(角膜の内側から瞳孔と水晶体全面までの空間:前房という)の炎症と一部網膜の炎症が診られ、患者さんの御希望で国立病院の眼科と整形外科に同時紹介を致しました。直ちに眼科入院、同時に同病院の整形外科にも受診となりました。その後整形外科はそちらの国立病院へ通われ、ステロイドの内服を0.1ミリグラム単位で増減しながらリウマチの内服剤を併用されて居られます。眼科は当院でステロイド点眼を副作用であるステロイド誘発緑内障に留意しながら継続治療しており、視力と主訴は改善しています。同じ様な症例が同時期に増えています。更に自律神経失調系の症状「めまい・耳鳴り・片頭痛」等も併発した時期が春の花粉症から梅雨時と一致して居り、同様の治療に漢方含め追加投与し夏には改善しています。
これまでも眼科的には「原田病・ベーチェット病・サルコイドーシス」等の膠原病・自己免疫障害疾患は散見されましたが、膠原病である「シェ―グレン症候群・SLE(全身性エリテマトーデス)・MCTD(多発性結合組織病)・サルコイドーシス・アレルギー性肉芽腫性血管炎」の合併例が増加しました。更に「慢性疲労症候群」に「ブドウ膜炎」を合併し(大変まれ)、その他自律神経障害(こちらは常に見られます)を併発している症例等かなり抱えるに至っています。現在「慢性疲労症候群」は大阪市立大学付属病院とその関連施設に定期通院してい頂いた上で、当院でもサイドサポートとして加療して居ります。理由は当院単独では「慢性疲労症候群」の指定施設には成れませんので、基幹になる診察施設の周辺症状を受け持つ係りにするしかありません。かつて京都府立医科大学の大学院に通っていた際、主任教授が免疫感染学が専門で「慢性疲労症候群」も実診察されており、診察治療に参加させて頂いた経緯による紹介患者さんでした。整形外科だけでなく内科等の十分な診断を行って頂く事が、周辺科目の治療に有効な手段発見に寄与すると考えます。
緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!
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