グローバルスタンダード
先週末常連の高齢女性から質問されました。「ブラジルで流行していたジカ熱は、オリンピックへ行っていた観客や選手、関係者から移されないんでしょうか。」と。実際アメリカでは南方の地域やカリブ海のアメリカ領土で約100万人規模で感染して居り、拡大していると報道されて居ました。
南半球は今冬ですから、媒介者である蚊の活動が悪く飛行機に入り込んで飛行機内や日本に到着後降り立って直接感染させるといった状況には無いと考えます。しかし今後もジカ熱感染がグローバル化の波により日本にも押し寄せて来ないとも限らないと思います。昨年以前にデング熱の感染が社会問題になり、実際は国内にもデング熱感染者が居り症状があまり明確ではなかったので単なる風邪ひき扱いで、適当に治療され重要視されて居なかっただけかも知れません。妊娠中の胎児に大きな影響がでるから、大問題化して居りますが、それは風疹などにもみられる問題と同じであり、個々人が症状を細かく問題にしない限り感染について明確化しないと考えられます。ウィルスへの血清作成は遅れて居り、なかなか予防対策には至っていません。ここで私が問題視するのは、欧米諸国の製薬会社の発想として「利益になる薬剤の開発と自社の言い値での販売価格の維持」が一番の関心事であるという姿勢です。アメリカを中心とした製薬会社は成人病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)関連薬剤の開発を1990年代より加速化し、ファイザーを中心として巨額の販売益を獲得しました。一方日本はかつてのお家芸である、抗生物質の開発をそのまま継続し結局新薬はまともには開発出来ずに衰退してしまいました。人の為に開発を行った主眼が、「今後見込まれるマーケットの大きさにターゲットを絞る」という点がさすがグローバルスタンダードを謳うアメリカの勝利でしょう。しかし未開の地に分け入り、風土病であった未知のウィルスとの戦いになかなか勝利し辛い状況に至ったのも欧米資本の資源開発や農耕地開拓に依るものでもあります。現地の住民がその犠牲になり、かつ欧米の製薬会社が開発した高額薬剤を使わされる事は、大変理不尽ではないかと感じます。世界の盟主というのであれば、自国の利益ばかりを追求するのではなく、それこそグローバルスタンダードに評価される世界的利益の分配を考えるべきと思います。
眼科領域にも同じ様な問題があります。コンタクトレンズの作成範囲です。海外の使い捨てソフトコンタクトレンズ製造会社の制作範囲はユーザーのほぼ80%程度を確保するレベルです。つまり20%程度は当初よりターゲットから除外されており、わざわざ製作し在庫を抱える事で利潤が得られないグループとして相手にはされて居なかったのですが、日本のソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズ製造会社は律儀にも全データに対応出来るように作成範囲を限界まで拡大していました。そのため現在の使い捨て圧勝時代において残存している国内メーカーは何とか需要が少ない症例にもまだまだ対応出来る準備はしています。問題は何時まで頑張れるかです。国内メーカーの心意気とは逆に、世界の趨勢は手軽な外向性メーカー主体ですから。
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