薬剤内容の破綻

 アレルギーの様々な症状の患者さんが来院される中、久しぶりに眼科の特徴のある症例が来院されました。以下に代表例を示します。

 時折診察に来られて居られましたが、何時も何となく受診され何時の間にか予約診療に来られなくなり放置される症例です。こちらも対応に困る事が多く、病識が無いのが問題でした。今回「5月中旬頃から片方の目がボヤケ出した」という主訴で来院されました。精査しますと「分子静脈閉塞症」「白内障の進行」で約1月放置されていた様です。元々不整脈・狭心症で加療されており、血栓溶解剤(血が固まらない様にする薬剤:バイアスピリン(小児用バファリン)やワーファリン)を内服しつつ高血圧・不整脈の内服をされて居り要注意患者さんでした。しかも脳梗塞の既往も在り、視野障害も伴って居り他院で「緑内障」の治療を受けていて当院で否定した症例でした。視野障害は患眼に生じて居りましたが、正常眼は問題は在りませんでした。患者さんに「目の静脈にあなたもよく御存じの血栓が飛んで詰ってしまい、視野が欠けています。これは白内障の進行では無いです。しかも血がサラサラになる御薬を内服していて生じる事は本来ありませんが、何か最近変わった事が起こりましたか。」と尋ねますと、何故か通院している病院の内科主治医が最近変わり、血栓溶解剤の処方が無くなった、そのため現在内服していない事が発覚しました。これではいけませんので、内服の内科医とそちらの病院の眼科に紹介状を作成しました。直ちに眼底の蛍光造影写真を撮影し、血管が無くなった障害部位にレーザー光凝固術を施行して欲しい旨、要望しました。1カ月経過して居りますので視力・視野の改善は厳しいですし、もっとも重要な黄班部にも出血が差し掛かって居り後々「新生血管」が生じて黄班変性症や新生血管緑内症を招来しますので、直ぐに抗血栓療法の再開と追加の眼科治療を必要とする旨、厳しく患者本人と担当内科主治医に説明しました。この方は比較的対応が出来る症例でした。

 患者さんが勝手に内服を拒否し、状況が悪化する、或いは他の障害を併発する事は大変多いです。しかし医師が何故か従来の治療法を変更し、患者の体質や病状に合わずに症状の悪化や他障害の勃発を招く事は、これ迄あまり出くわす事がありませんでした。しかし最近数年間「どうしてこの様な処方になるのか。傷病名と合致しない。」症例が当院に時折受診される傾向にあります。その多くが、「通院している医院・病院で担当医師が変わってから御薬の見直しがあり、大幅に内容が変わった。」と患者さんが答えられます。長期間通院されて居ますとカルテに処方内容を毎回きちんと記載せず、「処方:同様」という形式で済ませてしまう傾向があります。その際たまたま直近の受診日に「薬剤がたまたま不揃いになったため、整理整頓を希望して来院された。」ため、従来の処方と変わった内容になり、以後その日の受診分がそのままの処方になってしまったため薬剤内容の破綻が生じている事が多い様に見受けられます。

緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!

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