自己責任の成れの果て
先日久しぶりに角膜矯正術(LASIK)後の緑内障に出くわしました。会社の健診等で、当然全く発見されずに10年来過されて来ました。
多くの患者さんが自費診療(保険診療は認められていませんので、担当医院と患者本人との合意での自由診療)でLASIKを受けて居られ、後日色々と不都合を訴えて来院されて居られます。多くは「術後乾燥し易い(続発性ドライアイ)」という主訴で来院される事が殆どです。これは施術した施設の程度の差に依りますが、「LASIK術後は殆どの患者さんが、ドライアイに成りますので、眼科に事情を説明して治療して貰って下さい。」と説明しておくことが誠意と考えます。近視・乱視の矯正を行うために角膜表面をレーザーでコンピューター制御で削ってしまい、謂わば可能な限り均一な遠視化を図る事がLASIKの発想です。その為角膜上をゆっくりと上から下へ流れて行く涙(涙液層)は、術後角膜表面が削られる事で台形になり急激な滝上に変化した術後角膜上皮を急降下することになり、角膜上への涙の停留が困難に成る状態、つまり「ドライアイ」を招く事は極当然です。その為の涙液保護剤の点眼については施術した医療機関がきちんと解説・加療する事は責任を果たす上でも当然の事です。同じく角膜中央部を削りますので角膜中央が薄くなった事で、角膜内面から虹彩(瞳)までの空間(前房)の体液部分(前房水)の体積が増える事に成ります。これにより見かけ上、眼球の圧力が下がる、つまり見かけの低眼圧状態を招く事に成ります。この為、元々緑内障家系であったり、年齢と共に緑内障が発症する通常の近視に合併する正常眼圧かやや眼圧が高め程度の高眼圧の緑内障が見落とされる傾向があります。会社の健診では、低眼圧を示し、かつ写真判定や流れ作業的眼底検査ではとても「低眼圧緑内障」の判定は出せませんので、見落とされてしまいます。実際視野検査等で初めて発覚する症例ばかりが、当院でも目立ちます。これもLASIKを施術した施設で「術後緑内障の発見を見逃す可能性が少なからずあり得るので、眼科で(本来施術した医院で)の定期検査を受けて下さい。」とう事前解説が成されるべきだと考えます。実際、緑内障を見落としがちになる事は当院で発見された全症例「そんな事聞いた覚えが無いし、術前後の説明書にも記載など無かった。」と仰っています。一部では「術後、目が乾燥しやすくなり、治療を継続する必要が生じる事も有ります。」という解説が書面で解説されていた症例は数例ありました。
近視矯正手術は色々ありますが、あくまで自費診療ですから、術後のトラブルも施術を受けた医療施設との話し合いに成る事を御自覚下さい。緑内障発症については、既に発症していた場合であれば、患者本人が医療機関に問診で報告していてその上でリスクの解説や術後の対策を講じていなかった場合、保障される事もあり得ますが、費用は微々たるものでしょう。一方患者が報告していなかった場合は、保障は得られないでしょう。施術時点で発症していた事が発見されていなかった場合、因果関係としてLASIKが関与したとは言えませんので保障等はほぼ不可能であると考えます。なかなか難しい事です。自己責任の成れの果ての一つとも言えますので、皆さん御注意為さって下さい。
緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。