安かろう・悪かろう
以前ブログに書きましたが、作成眼鏡を精査すると不適切である事が思いの外多いので、注意する様にと喚起しました。この一月、「新しく作った眼鏡をかけると疲れる・見辛い・余計に目が悪くなった様に思う」等を主訴として来院される患者さんが急増しています。
特に低価格で安心を謳い文句にして急成長しているチェーン店での眼鏡処方は曲者です。一部の患者さんは「眼科の眼鏡処方箋」を持参したにも拘らず、「自分達の技術が優れているので、自分達独自の眼鏡処方をさせて下さい」と顧客に進言し、患者さんが持参された「眼科の眼鏡処方箋」以外の眼鏡処方をされてしまう事がある様で、その際顧客から患者として貰った「眼科の眼鏡処方箋」を店側が取り上げてしまい、顧客に返還しない事があるようです。ちなみに同一人物を医療法上は「患者」と呼称し、商法上は「顧客」と呼称している事に注意を払って下さい。患者さんが当院での計測と検査により、怒り心頭になられる事がありますが、「個人の意志で眼鏡店側により良い眼鏡作成を依頼された場合、眼鏡処方箋は絶対的な拘束力は持ちませんので、検眼士や眼鏡処方を行う店員に顧客からの依頼が成立した場合、新たに該当する店舗内での眼鏡処方が眼鏡作成の基本になる」のです。眼科では患者、店舗では顧客です。理由はともあれ、患者さんが「わかった。では貴方の御店で自分関係による「商取引」つまり「物品販売」にまつわる「視力矯正」とそれによる「眼鏡処方」が成立します。眼科医院では「医師法・薬事法・保険法」の支配の下に作成された「眼鏡処方箋」ですが、眼鏡店では「薬事法・商法」の支配の下に作成される「眼鏡処方箋」です。つまり「患者」であるか、「顧客」であるかも法規の下での呼称の問題です。眼鏡販売店の店員は、医師では無いですが「眼鏡処方箋」の作成は可能です。しかし商品販売の為の「眼鏡処方箋」作成であり、保管義務自体は確か6年位だったと記憶します。一方眼科医の眼鏡処方箋発行行為は保険診療に準拠する医療行為であり、診療録(カルテ)と共に患者さんの最終自身歴後最低限6年保存義務があります。つまり「眼鏡処方箋」は法的に6年程度の保存義務が存在する公文書に類する書類ですが、取り扱いは処方箋発行者、医師あるいは眼鏡販売業者により保管法は様々です。しかも10年程度保管している施設もあれば期限きっちりで廃棄してしまう施設と、ばらばらです。そのため眼鏡処方箋の保管法と処方の精度はある程度比例するとまで言われるのは、患者・顧客に対する誠意に比例すると考えられるからです。事実低価格商品取り扱い眼鏡販売チェーン店の眼鏡フレームを見てみますと、驚くほどの軽さと耐久性の無さに呆れます。しかもがフレームを掛けた瞬間のフィット感の良さは驚きます、つまり店員が眼鏡フレームのフィッティングの技術が無くてもそのまま処方出来てしまう形状であり、その為暫く使用していると徐々に弛み歪みが生じてしまう事が予測されますが、何せあまりに安いので顧客も目くじら立てて抗議する事無く、諦める様に仕組まれていますのは大変巧妙な策ではないかと思います。何でも「適当に作れて、適当に劣化し、適当に捨てられる」というお手軽お気楽、アンチ勿体ない事情にフルマッチングすると考えます。
眼鏡の価格が想像を絶する位に低価格になっている現在、処方する側も販売する側も購入する側も、眼鏡の価値をあまりに低く見積もってしまっている事が、「不適切な眼鏡処方・眼鏡作成」に結果として至るのだと考えます。まさに「安かろう・悪かろう」に転落しているのです。
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