初めての眼鏡
この時期からは新学期に向けての学童学生の眼鏡処方が急増します。特に「視力矯正自体初めて」というお子さんが大半なので、職員と私もテンテコマイです。
自分がそうでしたが、眼科で「見えますか」と質問されます。これは大変な判断を要求されているのです。子供学生にとって「見えないから、眼科に来ているのであって。見えているか、とはどういう事か。」という素朴な悩みと嘆きの渦の中で経験の無い苦渋の返答を強いられているのです。事実私は「遠視性乱視で両眼とも僅かに外斜位」でして、小学校高学年になり判明し大変苦労しました。焦点距離の概念と体感としての「見える」という状況が一致しないと「眼鏡作成」はするべきではありません。混乱の中ただ単に「この見え方で慣れなさい」という半ば強制的視力矯正を初めての眼鏡処方で強いる事になります。その為「眼鏡はかつて作ったが、しんどかった様で殆ど使っていない。」という返答に至ります。費用も手間も全て無駄。しかも視力矯正に対し、子供なりの不信感を抱かれます。そのため当院では、暫く点眼や訓練で慣れてから、「見えるとはこういう事か」という自覚を促し、子供自ら「視力矯正に参加したい」という気持ちになるように促して居ます。そうすると「初めての眼鏡」に不快感・拒否感を抱かれる事無く、多少の親しみも抱いて貰えるようには歩み寄れると考えます。多くの子供にとっては眼鏡はあまり嬉しい物ではありませんので、積極的に好きになって欲しい、とは言いません。ただ「いざとなったらこの眼鏡登場」という、「それなりに頼りになる友達」として存在させてやるべきものが、「初めての眼鏡」と思います。
「どうしても学校やクラブのスケジュールでなかなか来れない」という患者さんが多いですが、実はそれは「親の都合」です。子供たち長い人生に於いて経った数時間を学校の都合(大人の都合)でけつまずく様な身勝手な大人の論理を子供に押しつける事は辞めるべきです。子供は「自分が何をしたいのか。どうしたいのか。」を言葉に出来ずに困っているだけで、本心は意外と堅固です。「この子は決められない子で、困っています。」と仰る父兄が大勢居られますが、当の本人は「おっちゃんと話そうか。」と御父兄の居ない所で「どれだけ見難いか、どんな時に見難いか。普段猫背になってないか、TVやスマートフォンとの距離が狭くないか。」を尋ねますと、殆どの御子さんが多少困った表情で「えへへ」と笑いながら素直に答えてくれます。この返答を元に複数回診察と日常の心構えと体操や訓練を当の本人とで約束し、本格的な眼鏡での視力矯正の完成に導く様にしています。それでも数カ月後に度数変更は多々見られますから、「レンズの変更期限」は保護者がきちんと把握する必要があります。眼鏡処方の第一回目はそのお子さんにとって、かなりのイベントであると御理解下さい。
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