黄斑変性症
前回の「黄斑変性症」に関する受診が継続しています。視野の「欠損」について、「緑内障」と混同されている患者さんが大変多い様です。
そもそも疾患としての概念を列記します。
・「加齢性黄斑変性症」:黄斑部の年齢による障害。初期は治療効果あり、予防もある程度可能。主体症状は「道路の白線や電柱が歪んで見える、中央部が暗く見える、視野全体に暗い・ぼやける」。眼球内への注射治療やレーザー光凝固、緑黄色野菜の摂取(ルテイン・ヴィタミンA・D・E等)で予防・治療効果あり。
・「緑内障」:視神経の血流障害。初期は点眼治療などで眼圧(IOP:21mmHg以下、眼科で測定する必要あり。血圧との相関性は無い)をコントロールし脳血流改善を図る事で予防が可能、進行により点眼追加と眼科的手術の対象となる。主たる症状は「初期には自覚症状は殆どない、(片眼づつでの視野確認をする事が習慣として無い為)たまたま片眼で見る事があり、見えない所を発見した、暗い・見えずらいが明確ではない」。点眼による眼圧のコントロール、網脈絡膜の循環改善(=脳血管循環改善)の為の内服、手術。進行は根本的には止められないので、失明の回避は難しい。
です。網膜の黄斑部の色素細胞(視力・色覚を感知する細胞、視野中央の視野障害)の障害か、網膜の栄養を行う視神経系の循環不全による視野障害(そのため血管還流域に一致したバームクーヘンを半分に切った様な視野欠損)です。成りたちが違いますので、治療法と治癒するかしないかの違いも当然生じます。
以前もブログで記載しましたが、「緑内障は脳血管障害の一部と考えるべき」であり、そのため「血流障害による神経系の障害は、今の所不可逆(治らない)」と考えて継続治療に勤しむべきです。「黄斑変性症は視細胞の障害」なので、光刺激にさらされる事による新陳代謝の障害でもあり、言わばアルツハイマー型痴呆のように脳への沈着物質(黄斑変性症ではドル―ゼンと言われています)の排除と同じ事が治療の根本です。しかし本年大きな話題に成りましたが、わが国ではiPS細胞による「加齢黄斑変性症治療」が世界で初めて行われました。成功すれば手術的手法ではiPS細胞移植術が主流になるでしょうが、日々の対策は先に述べました様に緑黄色野菜の積極的接種と光刺激の回避(パソコンのブルーライトの曝露量と時間の軽減)を御勧めします
緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!
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