最近の医学事情

 本年度長期に渡りゴールデン・ウイークを頂きましたら、やはり相当の批判が湧きあがって居ります。

 その多くが「今年は何でこんなに長く休んだんだ。例年と違う。」という声です。今年は大変特殊な事情でした。その内訳は「知人の医院・病院へ久しぶりに見学に参り、最近の医学事情を実際研修させて貰った」事と「日本アレルギー学会総会に参加し、患者要望の‘舌下免疫療法の講義'参加を余儀なくされた」という事です。前者については、最近の眼科・耳鼻科・アレルギー科の診察事情と検査・治療や手術・紹介可能な専門施設について情報交換、むしろ教えて頂きました。中でも「アレルギー性鼻炎への鼻腔レーザー」に関する研修と実情を複数の耳鼻科医にレクチャーして貰いましたが、「経験が浅い耳鼻科医にはあまり勧めない」といいう返答が多かったです。実際本日まで今年に入ってから「鼻腔レーザーでアレルギー性鼻炎治療をしたが、鼻出血が止まらない」だの、「レーザーをして貰ったが、花粉症が全く改善しない。効かないので2回レーザーを同じ施設で受けたが、良くならないので来院した」という依頼が10数例ありました。昨年は2・3例でしたので急増して居ました。同じく鼻腔レーザーについてレクチャーして下さった耳鼻科専門医から聞かされたのは、「舌下免疫療法の問い合わせがとんでもない数があるが、実際どうなるものか」というやや懐疑的な言葉でした。そんな中でも2人の耳鼻科専門医の先生の御話は貴重な内容で、「藤原さんも以前仰ってたでしょ。あなたも自費診療でかつてスギ花粉症の減感作療法を2年近く受けたじゃないですか。治らなかったから開業しながら、府立医科大学の大学院研究所で免疫関係の研究をして、代替医療にも詳しくなったでしょう。私も以前同じ様に、減感作療法をして貰ったんですよ。でも良くならなかった。だから今回の治療法もあまり期待してないんです。耳鼻科に問い合わせが殺到しているから、それと学会主催で舌下免疫療法の講義に事前登録しきちんと受講し、終了証明書等が発行されてその後も色々と登録作業や講習があって初めて登録医となり治療許可証が発行される(掻い摘んでの内容です)という時間と費用と許認可制であるから仕方なく有資格者になろうと思いますが、はたしてそれだけの価値があるのか疑問です。勿論アレルギー症状は軽減するとは思いますが、患者さんが期待している様な’完治する‘保証は厳しいでしょう。毎年の花粉症の症状を100%とすると50%位に軽減する事はかなり高頻度に得られるかもしれませんが、殆ど期待できない患者さんも少なからずいらっしゃるでしょうから、私や家族関係者に積極的に勧めるかと言われると疑問ですね。」と返答されました。そうです。私が「眼科・耳鼻科・アレルギー科」を標榜しているのも、その先生方と同じ様に減感作療法失敗者だったからです。

 5月10日土曜日に、大事な土曜日を休診にして「アレルギー学会総会」に参加してきましたが、印象としては特に目新しい内容はありませんでしたが、納得できる講習内容でした。自分の知識と医学的話題をきちんと履修出来たのは大変有用でした。ただ実際の診療に於いて患者さんとの質疑応答に十分な内容であったかと言うともう少し込み入った内容まで踏み込まれても良かったのかな、という印象も在りました。おおむね患者さんを大量に受け入れています土曜日を一日休診にしても花粉症の患者さんに今後「損させてしまった」と嘆く様な内容でなかったのは有難かったと思います。保険適応になっても、慎重な対応を予定している私の信条を大きく変える程の新療法になって欲しいと期待したいと感じました。

緑内障・白内障・黄斑変性症から風邪・花粉症・ぜんそくまで、兵庫県川西市の眼科・アレルギー科藤原医院へ!

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