「治った」の解釈
前回の内容に追加すべき事柄があります。患者さんが考える「治った」と医師が考える「治癒した」とは大きな差があると言う事です。特に「花粉症」、それに引き続く「副鼻腔炎」はこの素人判断、「治った」の解釈の間違いから生じるのです。
前提として「治癒」こそ医師が判断した「治った」状態です。実際労働災害や交通事故等で「診断書」を作成する上で大切な概念であり、担当医がある時点で患者の身体状態について「これ以上の治療を施す必要が無い状態」をもって「治癒」という判断を下すのです。事実「診断書」は医師のみが発行する書類ですから、「治癒」診断も医師だけが行うものです。つまり「治った」=「治癒」ですから、患者は担当医の診察を受けて「これで治癒です」と宣言を受けて、初めて「治った」と実感して下さい。この医学的科学的法規的判断に準拠して述べます。
花粉症は「花粉」がアレルゲンであり、アレルゲンが消失しない限り「曝露」状態が継続して居り、症状の軽減は「治療経過中」でしかなく、花粉の飛散が完全に止まった後もヒトの免疫径は直ぐにはアレルギー反応は停止しません。「ほとんど症状が出なくなったから薬が無くなってからは多少我慢してたら治ると思って」という患者さんが多々居ますが、アレルギー反応が停止するタイミングを遅らせて居り、ずるずると治癒する機会を遅らせているのです。この事が、翌年の花粉アレルギーを悪化させ、効果の強い薬剤を選択しないと対処出来なくしている事も多いのです。こうして鼻の奥(副鼻腔)に鼻汁が残存してしまうと細菌が取り付いて「副鼻腔炎」に至る下地をわざわざ患者さん自らが作成している事になるのです。実際鼻汁は「ネバつく」のは蛋白質が多く含まれているからであり、「しょっぱい」のは塩分があるからです。当然細菌には御馳走であり、患者さんが「花粉症が治った(!)」と安心している時に薬の攻撃を受ける事無くゆっくりと勢力を拡大できるのです。その条件と副鼻腔という空間を提供してしまったのは、「治った」と判断した患者さん自身です。医師は安直には「治癒宣言」しません。責任があるからです。だから「診断書・治癒証明書」を作成できる権限を有するからです。花粉症の時期に鼻水分析や培養をした際、思いの外酷い「感染状態」を発見されるのは、この様に毎年、なんとなく「治った」つもりで生活して来た事に由来する、気の毒な「思い込み」による「アレルギー性鼻炎」「副鼻腔炎」状態です。よくよく考えてみると誰もが理解できる道理です。
更に私は「鼻出血」を嫌います。何より、無理にイキム行為は、鼻症状の治療が順当でない結果であることは明白で、一層治療を強化しないといけないし、それにより腹圧をかけてイキム事は無くなる筈です。治療不良状態の象徴が「無理なイキム鼻かみとそれに伴う鼻出血」です。鼻をホジッテの出血も問題ありです。なぜ「鼻をホジルのか。」、その必要はあるのか、です。出来れば鼻症状が順当に改善消退することで、必要無い「鼻かみ」や「鼻ほじり」を止める事を努力すべきです。鼻の粘膜を清潔に保ち、傷つけない様に保持すると花粉症や副鼻腔炎になりにくい状態を作成している努力に繋がり、何れ完全に治療が不要にならないまでも治療内容が極端に減量出来る可能性はあります。努力するだけ価値はあります。
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