角膜異物
以前記載しました「救急医学」に関する受診が増えて居ます。
年齢は様々ですが、「眼球打撲」にまつわる障害が多いです。次に仕事中の「角膜異物
(鉄片・アルミ片・木くず等)が多いです。
何れも受傷直後から半日以内の来院は特に問題は在りませんが、24時間を過ぎますと
「手遅れ」な事も多いのです。今のところ僅かですが、「眼に何か入って、(放置していたが)
昨日から痛くなり、ひどい涙と充血で受診した。」という方で、単なる「角膜異物」では済まない
症例が在ります。中でも「目を枝や草木の先で突いた」場合は、問題です。
作業中の鉄片は涙の塩分による「イオン化」で「錆びる」事が問題になり、
眼内に飛入した場合は「眼内炎、その後の眼球鉄症(網膜の鉄イオンによる障害)」を
引き起こしてしまうと「視力は回復しない事もあり、早速眼球内の手術(硝子体手術)」を
行わざるを得ません。ただ異物の位置を特定する為にはX線撮影とCT撮影は可能ですが、
MRIは鉄片異物が磁力により眼内で暴れてしまい危険ですから、問診が大切です。
かつてくも膜下出血の手術を行った患者さんが、血管にクリップをしている為にMRI撮影を
絶対避けるという事に同じです。
アルミ片は特に磁気への影響も無く、素早いイオン化も無いので、急がず確実に除去する事が
最良です。
木片は危険です。前述の「植物」と同じく、「付着するカビや病原菌」が眼内に入り込むか
どうかです。眼内に「カビ(真菌)・細菌類」が飛入した場合、少数の菌数でいきなり
「眼内炎→止む無く、眼球摘出」という最悪コースも在り得るのです。
眼球内の硝子体(しょうしたい)は、コラーゲン線維・ヒアルロンサンで形成されており、
蛋白質の繊維ですから細菌等には大変美味しい栄養分であり、あっと言う間に増殖し
眼内感染はいきなり重症化します。受診が遅れる事の重大性は「自覚症状」では
判断できないのです。
植物系の「突き目」は予想以上にこじれますので、受傷した場合早々に眼科受診を
為さって下さい。幸せな「庭の手入れ」が、いきなり「不幸の始まり」になり兼ねません。
気楽に判断されない事です。
今のところ入院に至った患者さんは極わずかですが、点滴加療を1~2週行う為に入院を
総合病院に依頼した症例は数例あります。手術に至った症例は‘0’ですが、
視力矯正が望めなくなった症例は1例在ります。高齢の為、1月ほど放置していた症例でした。
残念です。
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