たかがメガネ、されどメガネ

小児(医学的に15歳以下)のメガネ合わせが毎日頻繁に来られますが、

メガネの装用経験のある方は、直近の所蔵メガネか使用頻度が多いメガネ

必ず御持参下さい。

 

 「直近の所蔵メガネか使用頻度が多いメガネ」と申しますのも、

「直近の所蔵メガネ」=「使用頻度が多いメガネ」とは限らないからです。

この2年程の間で急成長している「均一価格のメガネチェーン」でメガネ処方を

受けて居られる方々のなかで、「どう考えればこんな度数・瞳孔間距離、果ては

フレームを提供したのか分からない」というメガネを何事も無く毎日使用して居る症例が

あまりに多いので対策に苦慮して居ます。この様なメガネをかけている小児患者の

保護者の御意見は「元々メガネはとんでもなく高価だった。それが最近1/3から

下手をすると1/20で買える様になった。メガネ屋の暴利に付き合うつもりは無いし、

子供は成長が早いからメガネの交換も多い。全国展開している有名店舗で

買えば安心だし、レンズの交換期間も長いからそこで決めた。」という事です。

しかし必ずしも経済効果が視力矯正効果と同等とは限らなかったのです。

よく見られるのは「眼鏡度数の問題」で、大変低矯正か矯正過多ですが、

不用な乱視を加入して居たり、果ては斜視が無いのに何故かプリズムレンズを

処方されて居たという症例が高頻度です。

 

次に「瞳孔間距離の不備」で、これも特に外斜位でもない或いは内斜位でもないのに

実際の瞳の距離(瞳孔間距離)より何故か広過ぎたり狭すぎたりという事が目立ちます。

これらの状況により急速な視力低下や身体症状、多くは「頭痛・眼痛・めまい・耳鳴り・

集中力の欠如・性格の変化(怒りっぽくなる)・頑張って居るにも拘らず逆に成績が

低下している」等の問診で私が尋ねてみて保護者が初めて「そういえば・・・」という

反応をされるケースが急増して居ます。

 

最後の「フレームの問題」ですが、激しい接触の多いスポーツをして居り、

保護者が「そのスポーツをする時に使いたい」メガネを希望しているのに、

フレームの無いメガネを処方して居るケースも多々居られます。

処方した店舗側の言い分は「接触の多いスポーツをするので、軽量の方が良いと判断した。

しかもフレームが視界を制限するのでフレームレスのメガネの処方をした。」そうです。

しかもかつてのヤクルト球団の名キャッチャ―の古田捕手を引き合いに出し「彼も

フレームの無いメガネをずっとかけて居た。これがトレンドです。」と保護者に断言したそうです。

古田選手のメガネは、特殊で特注品です。彼は乱視が強かったのでコンタクトレンズ処方に

問題が在ったと聞いた覚えが在ります。ましてや現役時代の彼のメガネはボールが直撃しても

パーツが顔面・眼球を損傷しない様に上手くバラバラに壊れる様に作成されて居ました。

  その為現在も同じ構造のメガネがスポーツ選手に愛用されて居ます。

確かにフレームレスですが、その店舗のメガネフレームにはその構造はありませんし、

金属のツル部分が破損すると顔面に障害が出かねません。救命救急医時代に

メガネのフレームによる顔面眼瞼・眼球特に角膜の裂傷を扱って来ましたが、

競技の内容とフレームの選択の決めては必ずしも一致しません。

指導員と本人の方向性により、何を追求するかでフレームを決めるのが一番で

あると私が大学病院現役時代の講演で話した記憶が在ります。

フレーム一つでも見解が偏ると処方される小児の未来に傷を残す事に成りまねません、

保護者の方々は要注意です。指導員(多くはコーチ陣)と御相談下さい。

 

 価格と見合う視力矯正が得られるようにしたいのですが、難しいです。

私は未だに20年来付き合いのあるメガネ屋さんに通っています。

殆ど作ったメガネを覚えて貰っていますから、「以前のこんなメガネとよく似た

フレームは在りませんか」と尋ねると、検眼士で店主である大将が、「こんなん

やったら御役に立ちませんか」と直ぐに選び出してくれます。研修医時代から

通っているメガネ屋さんですが、残念な事に大将が始めて後継ぎは無いので

近々店を閉める予定だそうです。私も「メガネ屋さん難民」に近々成るのでしょう。

「たかがメガネ、されどメガネ」、なぜきちんとしたメガネ屋さんの値段が

在る程度するのかも、よくよく考えて下さい。

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